新型コロナウイルス感染症特例貸付に関する社協職員アンケート報告書2021

特例貸付の最前線で奮闘する全国の社協職員の声

社協現場の声をつむぐ1,000人プロジェクト 1,184人のアンケート調査結果から


 新型コロナウイルス感染拡大による影響から2020年3月25日から始まった新型コロナウイルス感染症特例貸付(以下、特例貸付)は、期間延長を繰り返し、運用開始から2021年8月末までの運用となっています(2021年6月末時点)
 わたしたち、社会福祉協議会(以下、社協)職員は、コロナ禍により生活困窮に陥った方の生活を支えるため、スピード感をもった迅速な貸付に取り組んできました。特例貸付の開始から約1年の期間を通じて、感染症対策や相談者の急増、運用の度重なる変更や貸付種類の増加等で特に都市部の社協の相談現場は、今まで経験したことのない混乱を経験し、多くの職員は葛藤に苦しみ、大きなジレンマを抱えています。

 2020年3月31日に関西社協コミュニティワーカー協会(以下、関コミ)会員を中心とした有志によるSNSを使った「特例貸付を通じて社協についての情報交換グループ」を立ち上げ、特例貸付に関する情報交換、意見交換を行ってきました。グループでの交流を通じて、現場職員の疲弊、ジレンマ、繰り返される期間延長からくる出口が見えない不安感が社協全体に蔓延している状況を感じ、「全国の現場の職員も同じではないか」という想いから、アンケートを取り組むプロジェクト(社協現場の声をつむぐ1000人プロジェクト)を立ち上げました。同プロジェクトには、生活福祉資金貸付事業をはじめとする低所得者への貸付制度の研究者にもアドバイザーとして参加していただき、業務後の夜間、週末などの時間を使ってSNSとオンライン会議を繰り返し、アンケートを完成しました。

 「特例貸付に関する緊急アンケート」は、1月15日から2月20日までの期間で実施しました。「関コミ」という自主研究会からの呼びかけにも関わらず、全社協のメールニュース、広域社協からの市区町村社協への情報提供、関コミ会員からの口コミ、SNSからの拡散などにより全国47の都道府県から1,184人からの回答を得ることができました。今回の報告書発表まで、アンケート期間中の「中間報告」、「速報」と2回公表し、このたび最終報告書を作成しました。
 アンケートには、特例貸付の最前線で奮闘する全国の社協職員の疲弊感、切実な声、未来への願いが続々と寄せられ、より良い困窮者支援につなげたいという社協職員の声が詰まっています。アンケート公表後の反響は大きく、テレビ、新聞などのマスメディアによる報道に加え国会の委員会でも引用していただくなど、コロナ禍での困窮者の実情、それを支える現場の社協職員の状況などを伝えていただいています。

はじめに より

【目次】
序章 調査実施の経緯と目的
1部 調査の概要と結果
 1章 調査の概要と基本属性
 2章 特例貸付実施中の社協の体制
 3章貸付の状況・申請形態
 4章特例貸付下における働き方・職場環境の変化
 5章情報共有・連携による支援の実態
 6章 償還免除と今後の制度のあり方
 7章 特例貸付の実施にあたりそれぞれの職場で工夫したこと
 8章 支えにしてきたもの
 9章 このアンケートを通して考えたこと
 
2部 まとめと提言
おわりに 報告書作成を終えて
参考資料


●発行日 2021年8月
●発行元 関西社協コミュニティワーカー協会・社協現場の声をつむぐ1000人プロジェクト
●A4判/244ページ

販売価格 999円(税90円)
型番 698